株式トレーディングにおける最も重要な技術、すなわち
自分なりのトレーディング手法をもとに実際に売買判断を行う技能、は、
いろんな場面の相場を、なるべく多く実習することで、習得できる。
そのために使う「筆記用具」は、何でも構わない。
昔の人は、紙とえんぴつを使ったかもしれないし、
今ならば、EXCELでもいいし、PowerPintでもいい。
家でも外でも、スマホや iPad等で いつでも復習したければ、
EverNote や OneNote を使ってもいい。
とにかく、チャート画面のハードコピーを手軽にどんどん貼り付けられて、
自分のコメントをすばやく書き込めれば、それで十分である。
いちいち紙にプリントアウトしていたら、紙がもったいないし、見づらい。
重大な失敗をして猛反省した時などは、必ず紙にプリントしておくべきだが、
せっかく便利なクラウドサービスがあるので、全データを蓄積しておいた方がよい。
紙に記録するのに比べて、比較にならないほどのメリットがあるからである。
さて、私のEVERNOTEを使った具体的な例で示しておきたいと思う。
これはあくまでも私の例であり、各自マネして、別の方法にアレンジしてもよい。
仮想トレードの対象日を選定するのに、
一番のおすすめは、「過去の似ている相場状況の日」であるが、
初心者がまず、いろんな相場状況の場面を経験するためには、
日付をピンポイントでいくつか指定して、パターンを組む必要がある。
おすすめは、ものすごい暴騰・暴落が発生した前後の相場である。
直近だと、2020年2月から3月にかけてのコロナショック大暴落と、
2020年11月から12月にかけての大統領選挙後の大暴騰である。
1日ずつ全部やっていくと、約240営業日あるので、それは後回しにして、
「週足完成日」つまり、週末日だけに絞るとよい。
これだと、1年あたり約52日しかないので、かなり絞られる。
実際のトレーディング生活に当てはめてみると、
週末の土曜日と日曜日に、週足チャートを最重要視して銘柄選定をする場合、
この「週足完成日」だけを見る習慣をつけることになる。
ということで、スタートする。
まず最初に開くべきページは、このブログの右メニューにある
「自作ツールのインデックス」 というリンクである。
そして、まずは対象の日付を選択する。
画面上部に、週足完成日 と 月足完成日 が掲載されているので、
日付のリンクをクリックしてもよいし、日付を直接入力して切り替えてもよい。
今回は、ちょうど1年前になる 「2021/5/7」 を選択または入力してみることにする。
すると、見た目は変わらないけど、黄色い網掛けの日付が
2021年05月07日(金) というふうに変わる。
この状態で、その下の表にある各種ツールを開くと、
それぞれ、その該当日の時点の内容が表示される。
日付を確認したら、株式トレーディング練習帳のリンクを開いてみる。
この画面が開かれるので、[PrintScreen]キーで画面コピーを取得する。
EVERNOTEの画面から新規ノートを作成し、画面コピーを貼り付ける。
ノートのタイトルは、日付「2021年05月07日(金)」を入れておく。
貼り付け終わったら、簡単なコメントを1~2行程度、書いておきたい。
相場の雰囲気、今日これから練習に使用する銘柄数 等である。
相場の雰囲気を判断するのに、この画面だけでは何か物足りないので、
この下に、「日経平均」の詳細画面を貼り付けておく。
「日経平均」のチャート付き詳細画面は、
先のインデックスページのリンクから開くことができる。
「日経平均」のチャート付き詳細画面を開いたら、
さっそく画面ハードコピーをとって、EVERNOTEへ貼り付け、
その下に、相場の状況、雰囲気等のコメントを書いておく。
今日の相場は、初心者でも分かりやすい相場なのか、難しい相場なのか?
トレンド中なのか、揉み合い相場なのか、 等を分析して、コメントしておき、
その状況判断をもとに、
もしこの日が本番だったらどういうトレード方針にするか?
等を記載しておく。 難しい相場なので見送るのか、1~2日で利益確定するのか、
トレンド相場なのでできるだけ利を伸ばすのか、 等を記入する。
これは、後日、トレード技術が今よりも上がった時に修正コメントを入れることがあり、
その時に、自分の上達具合を確認するのに、必ず役に立つはずである。
ちなみにこの日(2021/5/7)は、上下どちらにいくのか分からない相場なので、
よほど確実性がない限りトレードしない、という慎重な方針を採ることにしている。
さて、1番目の銘柄は、「2269 明治ホールディングス」。
今回のスクリーニングは、「2_逆PPP赤折れ」 であり、「逆PPP」を待つ戦略である。
「株式トレーディング練習帳」画面で、○印が付いている、つまり、
日足ADXが上昇中なので、動きを追ってみることにする。
銘柄名のリンクをクリックすると、2021/5/7時点の、チャート付き詳細画面が開く。
相場状況で、強い下落トレンドが発生している場合は、「逆PPP赤折れ」の時点で、
見切り発車で「売り」判断をすることもあるかもしれないけど、
2021/5/7はそういう日ではないので、よほど明確な買いシグナルでないと手を出さない。
この画面のハードコピーを EVERNOTEに貼り付けてもいいけれども、
いちいち全部貼っていっても見づらくなるだけなので、
コメントしたい画面だけ貼ればよいと思う。
さて、この画面から、右カーソルキー または 画面左下の [→] リンクで
1日ずつめくっていき、日々、売買判断を行う。
その経過を、EVERNOTEへ記入していってもよい。
途中、迷った場合は、その画面のハードコピーを EVERNOTEへ貼っておくとよい。
今回は、3日分ほどめくった後、日足PPPステータスが 「逆PPP」に変化し、
相場師朗先生の技 「逆下半身」 のシグナルが出たので、
画面コピーを撮って、EVERNOTEへ貼り付けた。
今回の私の判断は、せっかくの「逆PPP」「逆下半身」シグナルが出たけど、
空売りするのを見送った。 なぜか? といえば、ADXが下がっているからである。
相場環境が「下降トレンド」であることを確認していて、売り優先の姿勢ならば、
ADXが一時的に下がってもまた上がることもあるので、
シグナルどおりに迷わず空売りするか、あと1日待って「ものわかれ」を待とう!
という判断になるかもしれないけど、この日はまだ、トレンド方向が未定なので、
本当は何もしたくない日 なので、少しの不安要素でも、見送る判断をするのである。
練習だからといって、本番で行う判断と違うことをやったら、それは嘘の練習になる。
「見送る」「やめておく」というのも、立派な練習だからである。
この銘柄は、この日をもって観察終了となる。
さて、次は2番目の銘柄「2815 アリアケジャパン」へと進む。
これは、◎がついていて、日足ADXと週足ADX が同時に上昇している銘柄である。
トレンド方向は下向きで、ADXが下がっているのだから、下げが強い傾向にある。
これも、やりかたは同じで、1日ずつめくっていき、
何らかの「迷い」や「判断」が生じたとき、画面コピーを撮って貼り付け、
その時の考えを完結に記入して、進めていく。
2日分めくったところで、日足PPPステータスが 「逆PPP崩れ(5)赤潜り」に変化し、
「逆PPP」化への狙いが一旦くじかれたのだから、もうここで終わりである。
ADXが上昇中なのだから、もう1日見てから判断してもいいのでは?
という考えもあるけれども、できれば最初からやりたくない相場だったので、やめておく。
これも、1銘柄目と同様に、
相場環境が「下降トレンド」であることを確認していて、売り優先の姿勢ならば、
あと数日、様子をみてから判断することになるけれども、今回は違う。
練習だからといって、先を進めていくと、本番での判断と異なるので、
「見送る」「やめておく」の練習で、嘘をつくことになり、練習の意味が半減する。
この後どうなるか?は、実はこの画面、この先9日間の「売玉の実現損益」が出ていて、
すぐに下落に転じたことが確認できるので、「空売り」のチャンスを逃したことになる。
でも、この時点での相場環境の状況判断をふまえて
「見送る」「やめておく」 の判断をしたのであれば、
きっと本番でも、同じ判断をしているはずである。
もし、株職人を目指して、どんな場面でも利益を取りたいという練習目的ならば、
ここで 「逆PPP崩れ(5)赤潜り」 のステータスを無視して、建玉をキープした
その理由と計画を、きちんとコメントしておくことになる。
今回は、建玉操作 の練習ではないので、ヘッジを入れたり 売り上がりは しない。
以上、 2021/5/7 で、2銘柄を仮想トレード(つもり売買)する練習例を紹介した。
結局、1銘柄もトレードできなかったという結果になった。
これは、私の今の実力では、仕方がない。
それじゃ練習の意味がないじゃないか! と思う人もいるかもしれないけど、
「見送る」「やめておく」の練習にはなった。
もしこの日が本番で、無理にこじつけてトレードしていたら、損を出して、
塩漬けになっていたかもしれないので、こういう練習もやるべきだと思う。
さて、今回の記事で、これだけでは寂しいので、もう一つ、別な日を選んで
練習例を紹介してみようと思う。
次は、 「2020/8/7」 である。
株式トレーディング練習帳を 「2020/8/7」に切り替えて、画面コピーを撮る。
EVERNOTEで新しいノートを追加し、画面コピーを貼り付ける。
今度は、「2021/5/7」に比べて、注目銘柄(ADX上昇中)が増えている。
次に、相場全体の状況を確認するために、日経平均の画面も貼り付ける。
「2021/5/7」と日経平均のチャートを比べると、
移動平均線が密集していて、この後、上下のどちらかに大きく動きそうだ、
という状況は確認できるけど、トレンド相場ではなく、揉み合い相場なので、
やはり初心者には難しい相場、だといえる。
分からなければ無理をせず、次に大きく 価格が跳ねた時に、
あらためて勝負した方がよい、という判断を、この時点でしておき、
コメントを記入しておく。
本番トレードでも、同じ判断をして、同じようにコメントすることをお忘れなく。
では1番目の銘柄。「5857 アサヒホールディングス」。
スクリーニングは「1_PPP赤折れ」なので、上昇狙いである。
1日ずつめくっていって、6日目に、「日足PPP」になり、
ローソク足も「陽-陰-陽↑」パターンになり、
しかも「5日MA 安値切上」なので、ここは買う場面である。かもしれないけど、
私は ADXの値を見て、上昇がピークアウトして下落を始めているので
「見送る」という判断をした。 本番でも、同じ判断をする。
これも、何度もいうようだけど、
この日の相場環境が 上昇トレンド になっているわけではないので、
1つでも不安要素があったら、手を出したくない。損失を出したくない。
練習だからといって、変な言い訳をして、こじつけたら、「見送る」判断力が鈍る。
こんな判断じゃ、トレード銘柄がなくなっちゃうじゃないか!
と思う人がいるかもしれなくて、たしかにその通りかもしれないけど、
下手な手を出して損失を喰らうよりも、よっぽどマシである。
実際のところ、どうなのか? は、
自分で同じ練習を、いろんな場面でやってみて、答えを確認すればいい。
ADXなんか見たおかげで、トレードチャンスを逃すのは愚かだ! というならば
それを無視した場合もやってみて、結果を比較してみればよいし、
他にもっと役に立つ指標があるのなら、それを使って検証してみればよい。
では2番目の銘柄。「6645 オムロン」。
スクリーニングは「1_PPP赤折れ」なので、上昇狙いである。
1日進めたところで、「日足PPP」になり、
相場師朗先生の最強技 「下半身」のシグナルが出ている。
そして、ADXも上昇中なので、これは買ってみよう! と判断する。
EVERNOTEに画面コピーを貼り付け、その判断根拠を記入する。
仮想トレードの場合、その後の結果が分かっているので、
次の日にめくって、「始値」の価格を確認し、それを「買い値」として記録する。
今回は、翌日の寄付(始値)が 7,770円だったので、それを記録しておく。
ちなみに本番トレードでは、これと同じ チャート付き詳細画面を見ることができるのは
当日の夜遅い時間になるので、夜遅くか、翌朝に、見て判断し、
証券会社に、「新規買い」を 「寄付成行」 の注文で入れることになる。
そうすると、翌日の朝、7,770円で買い注文が約定しました! というメールが来る。
証券会社のツールを見て、本当に約定されていることを確認する。
そしてすかさず、スマホ等でEVERNOTEのノート画面を開き、買い約定価格だけ追記する。
含み損益が表示されているかもしれないけど、それは気にしないことにする。
ザラ場(証券取引所の売買時間)中は、価格をいっさい見ずに、
自分の本業の仕事に集中する。
チャートが気になって仕方がないという人は、自分の本業の仕事にもっと集中し、
チャートを絶対に見ないことを自分に誓った方がよい。
「終値」をもとに判断するトレードで練習を積み重ねて、それで本番をやるのだから、
練習と本番で、条件をかえてしまってはいけない。
ザラ場でチャートを見ながら売買するトレードをやりたい場合は、
日本の個別株ではなく、MT4を使ったFXのデイトレードに徹した方がよい。
その場合は、私の手作りポンコツツールではなくて、
「練習君プレミアム」という優秀なツールを使うべきである。
さて、その後、3日ほど先に進めると、「日足PPP」は変わらないまでも、
節目の 8,000円に当たって「陰線」になり、
ADXの上昇がピークアウトして下降を始めたので、
ここで「手仕舞いする」という判断をした。
この日の画面コピーを撮って、EVERNOTEへ貼り付け、
判断根拠とコメントを記載する。
もしこれが本番トレードだった場合は、
「寄付成行」の売り注文で、翌日の朝に約定することになるので、
画面をもう1日めくり、翌日の「始値」を調べて、
「売値 \7,830円」 と記載し、「損益 +80」も記載しておく。
もし相場の状況が「上昇トレンド中」であるならば、
ADXの下降よりもむしろ BBWの増加を優先判断して、
もう少し利益を伸ばそうとする判断をするかもしれない。
でもこの時の相場(2020/8/14)は、そうではなかった。
だから、あまり無理をせずに、早めに利益確定しよう、
と思いながら、1日ずつめくって練習していくべきである。
なるべく本番と同じ心境で、あたかも本番トレードであるかのように、
その日の状況におかれた自分になりきって、練習することが大切である。
この日、他にも 対象銘柄はあったけど、ここまでにしておこうと思う。
もしこれを20年分、つまり 52週×20年 = 1,040日分 練習したら、
このまま本番トレードを、自信を持って やっていけるのではないかと思う。
ぜひ最初にやってほしいのが、最初に紹介した、
2020年2月から3月にかけてのコロナショック大暴落、
2020年11月から12月にかけての大統領選挙後の大暴騰
の前後の相場である。
ここまでのトレードができるようになったら、次は、
建玉操作の技術へと、レベルアップしていくことができる。
勝てる時には大きく勝ち、負ける時には小さく負ける。
勝ち負けは、やってみた後でないと分からないので、
買てるなら大きくし、負けるなら小さくしていけばよい。
そういう、ポジショニング(サイズ操作)が、次の課題になる。